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奏法(ビブラート)のページ


奏法



目次

1. 重音奏法
2. トリル
3. トレモロ
4. 音のフェイク
5. グリッサンド
6. ビブラート
6.1. ハンド・カバー奏法
6.2. ハンド・ビブラート
6.3. スロート・ビブラート
6.4. 横隔膜ビブラート
6.5. 顎ビブラート
6.6. タング・ビブラート
6.7. 横隔膜 ビブラートの訓練
7. タンギング

6. ビブラート
 特にハーモニカでなくてもいいのですが、音楽のCDを聴いているとどんな楽器や声楽でも必ずといっていいほどビブラートがかかっています。ビブラートのかかっていない音は実につまらないものです。クロマチック・ハーモニカの場合、聞く人の耳に痛いという現象となって現れます。逆にハーモニカは口で音色をコントロールする楽器であるため多彩なビブラート表現が可能であり、名手の手にかかると魂を揺り動かすような感情を聴衆に励起させることができます。
 クロマチック・ハーモニカのビブラートのかけ方には、次のような方法があります。
  • ハンド・カバー奏法
  • 手の動きを利用するハンド・ビブラート
  • 喉の動きを利用するスロート・ビブラート
  • 横隔膜の動きを利用する横隔膜ビブラート
  • 顎の動きを利用する顎ビブラート
  • 舌の動きを利用するタング・ビブラート
 これらすべてをマスターする必要はないでしょうが、いくつかができるようになっていると、曲によって、あるいは1曲の部分によって使い分けることにより、非常によい効果を生み出したり、変化を付けたりすることができ、演奏が単調になるのを防ぐことができます。

6.1. ハンド・カバー奏法
 カウボーイが10 holesを両掌に包み込み、わずかに開閉させて吹く素朴なハーモニカの音色、西部劇の1場面を思い出さないでしょうか。あの音色を出すのがこの奏法です。手でカバーすることからハンド・カバー奏法と呼ばれます。
 クロマチック・ハーモニカの場合には右手でボタンを押す関係上、右手でハーモニカを支えていますが、その右掌に窪みができているはずです。その窪みの蓋をするように左手をそえ、その蓋を開け閉めすることにより、ハーモニカ特有のポワポワ音が出ます。赤ちゃんをあやすときのアワワワと同じ原理です。簡単なテクニックですが、上手なハンド・カバーと下手なハンド・カバーでは音色に雲泥の差が出ます。 
 ボタン押しがない曲の場合には右掌の先を動かしてもいいのですが、ボタン押しがある曲の場合には左手の先を動かします。左手は利き腕ではないので動かす訓練が必要となるでしょう。左手を動かすというのはあまり簡単なことではなく、私も最初は動きませんでしたが、通勤時間の電車の中で左手を動かす練習をしてようやく動くようになりました。後で述べるように右掌の付け根の方を動かす方法もあります。
 あまりにポワポワが強すぎるのもかえってムードが壊れます。どんな手の動きの速さがいいのか、どれくらいのカバーの仕方がいいのか、など研究のネタは尽きません。
 手を動かす速さにも気を配りましょう。あまり速すぎると、ポポポポポポという感じになり、それほど感じの良い効果は得られません。また、手を動かすことによって、曲のテンポが取れなくなる人がいます。適度な速さは、スローな曲で4分音符あたり4回ぐらいにすると、手を動かしながら曲のテンポを追いかけていくことができます。「ムーン・リバー」などで試してください。
 一部に、ビブラートは音を出すときにかけるべきであって、音が出てからかけるハンド・カバー奏法は邪道であるという意見もあります。しかし、他の楽器に見られない素晴らしい効果が出るものですし、ポピュラー系の音楽では効果があればハーモニカが持つ可能性をすべて引き出してよいのです。ぜひ、マスターしておきましょう。
 故クロード・ガーデンさんのハンドカバー奏法は、掌の先ではなくて根元が動いているようです。しかも右手です。左手を動かすのが難しい人は、このやり方を参考にするといいかもしれません。
 ハンドカバーの効果は、右掌で作った窪みを左掌で蓋をしたり開けたりすることで得られます。初心者で、この蓋をするという原理を理解せずに、掌だけ動かして中々効果が出ないと嘆く人がいます。動かすのを真似るだけでなく、しっかり耳で音を聞いて効果が出ているかどうか確かめながら演奏しましょう。
 クラシック奏者の多くは、ハンドカバー奏法によるビブラートを使っているようです。あまり派手なハンドカバーの効果を出すと、曲の雰囲気を壊してしまうので、それぞれの奏者により工夫があるようです。全部蓋をしないで一部開けたまま手を動かすとよいでしょう。チェン・バー・ハンさんは、左手の小指と薬指の2本だけを動かしていました。
 ポピュラー系の場合、派手なハンドカバーが中々効果的ですが、1曲全部をハンドカバーで演奏すると飽きっぽくなりますので、曲のある部分に限定して使うといいでしょう。前述のクロード・ガーデンさんのハンドカバーの使い方がまさにそうで、聞いていてぐっときますね。彼はいろいろなビブラートを使い分け、しかもいやみがなく、まさにポピュラー・ハーモニカの神様的な存在です。なるべく彼のCDを鑑賞しましょう。
 故ラリー・アドラーさんは、普通には舌を動かすビブラートを使っているのだけれど、オクターブ奏法のときは舌が使えないのでハンドカバーを使うとおっしゃっていました。 

Eddy Manson

Haunted Heart


6.2. ハンド・ビブラート
 バイオリン奏者やチェロ奏者の演奏がテレビでクローズアップされると気付くと思いますが、弦を押さえる左手が盛んに動いています。クロマチック・ハーモニカで同様のビブラートをかけるには、ハーモニカを持つ手を前後に動かします。両手を同時に前後に動かすとよい効果が得られるはずです。バイオリン奏者を観察すればよくわかりますが、いつも手が動いているわけではありません。細かな音の動きでは手を動かす必要はなく、音が伸びるところでビブラートをかけています。クロマチック・ハーモニカの場合もロング・トーンのところで手を動かせば十分です。
 注意事項が二つあります。一つは、手が動いているということとビブラートがかかっているということを混同しないでほしいということです。私の学生時代の経験ですが、手を盛んに動かしているにも関わらず、録音テープで聞くとちっともビブラートがかかっていませんでした。これを防ぐためには、吹きながら必ず耳でビブラートを確認することが必要です。
 もう一つは、音程を下げた吹き方をしないということです。複音の有名な「荒城の月」でもバイオリン奏法の部分でこの奏法が出てきますが、故佐藤秀廊先生が音程を下げてはいけないと注意してあるにも関わらず、下げて吹く人がいます。吹いている人は感じがよいと思ってやっているようですが、聞く方からすると前の部分と音程が変わるのがわかって、とても感じの悪いものです。クロマチック・ハーモニカの場合はほとんど伴奏付きで演奏されるので、音程が下がるというのは致命傷的な悪い効果が出ます。
 このビブラートは、バイオリン的な効果を出すときによく使います。ビブラートの速さは手でコントロールできるので、他のビブラートより細かなビブラートが可能です。吹き吸いをコントロールしてバイオリンの弓が静止から動きへ移る感じを出すと、よりバイオリン的な音が得られます。4オクターブの低音部で使うと、チェロ的な効果も出すことができます。チェロのビブラートはバイオリンより遅い動きであることにも注意しましょう。
 また呼吸の加減ではバイオリンではなく、とてもハーモニカらしいビブラートも作り出せます。とても綺麗なハーモニカ的ビブラートをかける奏者をよく観察していましたら手が動いていたので、試して見るとよく似た音を作ることができました。このように他の人の演奏を観察することも自分の技量を上げるよい方法ですので、ぜひ実践して見ましょう。

森本恵夫

ライフルと愛馬


6.3. スロート・ビブラート>
 スロートというのは喉のことです。スロート・ビブラートでは喉の震えを利用します。
 ウッ、ウッ、ウッ、ウッ、ウッという感じで喉で息を切るようにすると、滑らかでない、かすれたようなビブラートがかかります。息を切るといっても本当に切ると音が途切れてしまいますから程度問題ですので、色々工夫してみてください。これまた、西部劇の映画で流れるようなとてもハーモニカらしいビブラートが得られます。日本の曲でしたら、「時には母のない子のように」などがこの吹き方にぴったりだと思います。
 喉の動きをより滑らかにし、口腔内の空間を大きくとるような吹き方をすると、レオ・ダイアモンド(故人)さんやリチャード・ヘイマンさんのような柔らかい音を作ることができます。かってベスト・セラーになったヘイマンさんの「Ruby」にその音を聞くことができます。(ただし、ここまで到達するのはとても難しいことです、念のため。)

Richard Hayman

Golden Earing


6.4. 横隔膜ビブラート
 横隔膜を振るわせるビブラートは、フルート奏者や声楽の方が使うビブラートです。ハーモニカの場合には吹くばかりでなく吸う場合もありますので、より難しく感じられるかもしれません。
 カラオケで歌う場合にビブラートがかかっている人は、多分横隔膜が動いているのだと思います。私はカラオケがまったくできないのでそのあたりの事情が詳しくないのですが、もしビブラートがかかる方でしたら、クロマチックを吹くときにその感覚をハーモニカにぶつけてみてください。きっと自然なきれいなビブラートがかかることと思います。
 そうでない人は横隔膜を動かす訓練をしなければなりません。コツは、ウーウーウーウーと強弱をつけて吹く(吸う)のです。><><><>とディクレッシェンドとクレッシェンドがロング・トーンの中で繰り返される感じです。この振幅の幅は、フルート奏者のビブラートを参考にするとよいのですが、最初は中々そのような速さにはなりません。遅くから始めて、だんだん速くなるように訓練していきましょう。
 スローな曲で、4分音符あたり4回の振幅が入るようになると完成といってよいでしょう。このビブラートも動きの速い部分では付ける必要はなく、音を伸ばすロング・トーンの部分でつければ十分です。
 このビブラートは、振幅の大きさを変えることによってかなりの変化が出ます。振幅の速さは同じでも、振幅を大きくするとかなり大げさな、オペラ歌手的なビブラートになりましょう。また振幅を小さくすれば自然なほのぼのとしたビブラートになるでしょう。これらを曲により、あるいは曲の部分部分で使い分けることにより、色々な変化を醸し出すことができます。Toots Thielemansさんは、振幅の小さい自然なビブラートを使っているように思われます。
 横隔膜ビブラートができるようになってから、口笛を吹いたり、リコーダを吹いたりするときにこれを応用すると、実にいい感じの音色が作れることに気付きました。映画で流れる口笛はとても綺麗ですが、横隔膜ビブラートが鍵だったのですね。
 なお、横隔膜ビブラートの特徴は、音の強弱によるビブラートです。音程の高低でかけるビブラートではないので、音のピッチが変わることはありません。

  音の大きさ↑
 
                        時間→

Claude Garden

Here Comes The Wind


6.5. 顎ビブラート
 顎を動かすというか、口をパクパクさせるというかすると、顎ビブラートがかかります。横隔膜ビブラートというのは、かかり始めると弾みがついてかかり続けるのですが、初めのころは中々かかり始めてくれません。そんなとき、顎を動かして横隔膜ビブラートがかかるきっかけを作ってやるといいのです。
 最初クロード・ガーデンさんから横隔膜ビブラートを教わったときに、中々かからないので、さらにガーデンさんの演奏を観察していました。すると、顎が動いていることに気が付きました。ガーデンさんに指摘すると、本当?と聞き返してきたくらいで、本人は意識していなかったようです。
 それ以来、顎を動かす練習をしましたが、意外に等間隔で顎を動かすというのは大変なもので、安定した動きができるようになるまでには数ヶ月かかりました。
 慣れると、単に横隔膜ビブラートのきっかけだけでなく、顎ビブラートそのものもいい感じのビブラートになることが実感されました。日によって横隔膜ビブラートがかかりにくいことがあるのですが、そんなときは顎ビブラートを多用することがあります。

6.6. タング・ビブラート
 タングというのは舌ですね。舌をイヨイヨイヨイヨという感じで動かすと、タング・ビブラートとなります。ただし難しいのは、このイヨイヨイヨイヨが大げさであると、聞いている人にもイヨイヨイヨイヨが感じられてしまって、とても優雅なビブラートにはならないということです。イヨイヨイヨイヨと舌を動かしながらイヨイヨイヨイヨを感じさせない動きにする、そこにコツがあります。
 このビブラートは、音の強弱というより、音程の高低でビブラートがかけられるようです。バイオリンやギターのような弦楽器のビブラートはこの音程の高低を利用していますから、同様です。

基準音を基にした音の高さ↑ 
 時間→



 この奏法の名手はラリー・アドラー(故人)さんです。アドラーさんが初来日したとき、聴衆からは「幻のビブラート」といわれたと聞いたことがあります。1995年の横浜大会では実際にアドラーさんの演奏を聞くことができました。アドラーさん自身のおことばでは、オクターブ奏法をする場合には舌が使えないので、ハンド・カバー奏法でビブラートをかけるということです。
 アドラーさんのCDは今ではたくさん販売されていますが、私は昔45回転シングル盤で聞いた「哀愁のエルサレム」という曲が大好きです。最近、CDに収録されたものも入手しました。

町田明夫

エストレリータ


6.7. 横隔膜ビブラートの訓練
 ここでクロード・ガーデンさんから教わった横隔膜ビブラートの訓練法を改めて述べておきましょう。訓練は、ロング・トーンで行います。



 全音符で練習するとして、最初はゆっくり、4分音符1個につき1回のディクレッシェンド、クレッシェンドを計4回繰り返します。(なお、お手本ではシーケンサー・ソフトの関係で強弱のビブラートでなく、ピッチの高低によるビブラートが使われています。)このとき、音をとぎらせてはいけません。

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ドーオーオーオー




 次は、4分音符1個につき2回にします。ここまでは簡単でしょう。

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ドーオーオーオーオーオーオーオー




 さらに、4分音符1個につき3回にします。これもなんとかこなせるでしょう。

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ドーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオー




  最後に4分音符1個につき4回の速さが出せれば完成です。十分時間を取ってください。(私の場合、そこまでいくのに半年位かかりました。)その前段階として、4分音符1個につき3回の訓練も必要になります。ただし、3回の場合、実にわざとらしいビブラートになりますので、あくまで4回を目指しましょう。

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ドーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオーオー





  これらを一つの音のロングトーンだけではなく、音階練習の中で実践してみましょう。吹き音だけではなく吸い音にもビブラートをかけなければならないのが他の楽器と違うところです。4分音符1個につき4回の振動であれば吹き吸いの切り替えにも困らないでしょう。

ドーオーオーオーレーエーエーエーミーイーイーイーファーアーアーアーソーオーオーオーラーアーアーアーシーイーイーイードーオーオーオー




 かけられるようになったら実際の曲に応用しましょう。シューベルトの「アヴェ・マリア」とかフォーレの「夢のあとに」などがとてもよい練習曲になります。
 ビブラートをかけると、音を延ばす長さの勘定ができなくなってしまう方がいますが、このように4分音符あたりいくつと数えていられれば長さの勘定もできるわけです。上達するにつれ、一々長さを勘定するという意識なしにビブラートをかけながら音を延ばすことができるようになります。
 また、あまり機械的に4分音符あたりいくつというのにこだわると、速い曲、遅い曲色々ある中で応用が効かなくなりますので、その曲の中でいろいろビブラートの速さについて研究する必要があります。
 上手な奏者のビブラートを観察すると、必ずしもいつも等間隔でビブラートがかかっているわけではありません。同じロングトーンでも最初からかけたり、最初ストレートな音で始めて途中からかけたりしています。このかけ方にも奏者独特な特徴があります。
 細かな音とロングトーンがまざっているときに、細かい音にビブラートはかけなくてよいという貴重なアドバイスをクロード・ガーデンさんからいただきました。これは大変ありがたい助言ですし、実際声楽の方が全部の音にかけているのを聞いたことがあって、聞き苦しいなという感想をもったことがあったので、とても納得のいく助言でもありました。

 さて、いろいろなビブラートを紹介してきましたが、ビブラートができるようになることの効用は、人前でスローな曲が吹けるようになることです。若いうちは早い曲を「どうだ、こんなの吹けるのだぞと」とばかりに吹くことが多い(私もそうだった)のですが、ビブラートができるようになってからは、スローな曲を吹くのがとても楽しくなってきました。
 映画音楽で流れるハーモニカ、例えば「ムーン・リバー」なんかはスローなとてもいい曲ですね。これが、譜面的には簡単なんだけれど、ビブラートができなかったころは様(さま)にならなくて、人前で吹くなんてことはとてもできませんでした。今では違います。スローな曲でもどんどん取り入れ、早い曲、スローな曲を織り交ぜてプログラムを作ることができます。
 クロマチック・ハーモニカのビブラートにはこのように色んな種類があり、奏者によってハーモニカの音色が全く異なります。色んなCDやLPを聞き、気に入った奏者を参考にして自分なりの音色を作っていく、クロマチック・ハーモニカは奥の深い、とっても魅力的な楽器なんですね。





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